よみがえるな変態 〜星野源を形作るものとは〜

 

先日、成田から大分までのフロイト(間違えたフライト)のひつまぶし(間違えたひまつぶし)に本を買った。その名も星野源の「よみがえる変態」。

 

よみがえる変態 (文春文庫)

よみがえる変態 (文春文庫)

  • 作者:星野 源
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/09/03
  • メディア: 文庫
 

 

税込660円で薄めの文庫本なので少し高いなと思ったけど、以前トイレに置いて読んでいた「そして生活はつづく」が気楽に読める内容で星野源の等身大像が見えてよかったことと、旅の終わりを星野源のエロトークで締めくくる(?)のも悪くないと思いこれを手にした。

 

そして生活はつづく (文春文庫)

そして生活はつづく (文春文庫)

  • 作者:星野 源
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/01/04
  • メディア: 文庫
 

 

この「よみがえる変態」は女性誌「GINZA」に2011年から3年間連載されていたエッセイを加筆修正したものであり、彼自身が2度発症した「くも膜下出血」の赤裸々な闘病記録でもある。もちろん猥談(わいだん)ものっている。 

 

自分自身、親戚の叔父をくも膜下出血で亡くしたけどこの本を読む限り彼は相当なラッキーマンだと思う。一度ならず二度もくも膜下出血を発症しながら、後遺症を残すことなく完治できたことのは彼自身にめっちゃいい守護霊か何かがついているんじゃないかとさえ思う。

 

闘病生活の記録という面を持ち合わせながら、それらをシリアスに書くのではなく逆にその境遇をなんとか(エロいことを想像しながら)楽しく乗り越えようとする彼のひととなりがこの本から垣間見える。そしてこの本を読んでから最初の発症を乗り越えて作られた曲「地獄でなぜ悪い」を聴くと、聴く前よりも一層曲の意味を深く理解することができた。(この世はやっぱり「楽しい」地獄なんだよなあ)

 

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そして連載の間にリリースされた曲の 2011年の「くだらないの中に」から 2013年の「地獄でなぜ悪い」までの製作秘話や、映画「箱入り息子の恋」や「地獄でなぜ悪い」で主人公の「童貞」役を演じた話、アニメ「聖⭐︎おにいさん」で主人公ブッダの声優を担当した感想などが書かれてあり、当時を知る人も知らない人も「星野源」という一人の人間が形作られていくのを読むことができる。

 

星野源のエッセイの面白さは、イチ芸能人としてでなくあくまでも「星野源」という人間として書いているところにあると思う。なにかを自慢するわけでもなく、かといって話を誇張するわけでもなく、エロも含めなるべくありのままに日常を描こうとしているところに好感が持てる。

 

この記事を書いているちょうど1時間前にYoutubeに彼の新曲「私」が公開されていることに気づいた。

 

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テレビドラマや紅白に出たり、「恋」や「アイデア」などの大ヒットする曲などを出しながらも彼に対する距離の遠さを感じないのは、彼の常に謙虚であろうとするスタンスと自分自身を飾らない無欲さにあると思う。

 

死の淵からよみがえった変態「星野源」。

この愛すべき変態はこれから先どこへ向かうのか。

まあそんなことはさして重要じゃない。

彼が彼自身のまま、いや、変態が変態のままであり続けるのなら....

 

午後7時50分、大分空港に着陸するアナウンスが流れる。

窓からの真っ暗な景色を少し眺めてから、そっと本を閉じた。