すうしぃの日常

大分生まれ大分育ちで大分在住、21歳の若造。別府市のAPUに通いながら、人生の大海原を絶賛迷走中。

なっちゃんとぼく 11ページ


なっちゃんの入院を知ったのは、
夕方のホームルームの時だった。

先生からは彼女が復学するのは難しいだろうと言われた。

そしてこうも言われた。

「どこの病院にいるかは教えられない」と。

「何言ってんだ...?」
理解できなかった。
理解したくなかった。

なっちゃんのことでいつも頭がいっぱい
だったぼくは気が気じゃなかった。

なっちゃんに会いに行こう.....
でもどこだ.....?
そういえば前に大学病院で薬貰ったって言ってたな......
会うとしたら何を持っていこうか…
そもそも彼女に会えるのか…?

一目散で家に帰ったぼくは、なぜか
家にあった古いお守りをポケットに入れた。

なっちゃんは大学病院にいるはず…」
そしてiPadで大学病院の場所をマップで調べて制服のまま自転車に乗った。
イチかバチかの賭けだった。

なっちゃんに会いたい...」
その思いだけがあの時のぼくを強く動かしていた。

その日は寒い一日だった。

大学病院は家から10キロ近く離れた山の上にあった。

坂道の手前に着いた時が午後5時半くらいで、あたりはすでに真っ暗だった。

「そこになっちゃんはいるだろうか…」

期待と不安を織り交ぜながら、
街灯もない道をただひたすら登っていく。

ただ、なっちゃんに会うために…

大学病院に着いたのは夜の6時過ぎだった。
病院近くのやなぎの木が夜の暗闇と相まって妙に印象的だった。
受付に行ったぼくは平静を装いながらなっちゃんの面会に来たことを伝えた。

「◯◯さん(なっちゃんの名前)ですね。
◯◯号室になります。
面会時間は午後8時までになります。」

一人の男子が夜中に女子に面会できるのかという不安とは裏腹に、

事務的にことが運ばれた。

「よかった…合ってた…」
ピンと張り詰めた糸がゆるむように肩の荷が下りた。

そしてなっちゃんに会えるという喜びと同時に、今の彼女は会って話せるような状態だろうかという不安が新たにぼくを襲った。

中学生ということで彼女は小児病棟にいるらしかった。受付から200メートル離れたエレベーターで病棟に向かった。

夕食の時間帯ということもあって
病棟の廊下には看護師や患者でごった返していた。ピンクの看護服や薄い青の病衣を着た人たちの中で、真っ黒な学ランを着たぼくは少し目立っていた。

病室の書かれた紙と部屋の前の番号を交互に確認しながら長い廊下を歩く。
途中で自分がどこにいるのか分からなくなったぼくは、もときた道を戻ろうとした。


そのとき....


「すーさん…!!」


振り返ればそこには、
叫び狂うほどに恋い焦がれた人が立っていた。


つづく…

 

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